FX取引のスリッページって？初心者向けに原因と対策をわかりやすく解説

FX取引において、スリッページという言葉を聞いたことはありますか？

スリッページとは、お客様の注文した価格と実際の約定価格の差のことを指します。

この記事ではスリッページが起こる理由や発生するタイミングなどについて、詳しく説明していきます。

スリッページとは

スリッページ（約定力）とは、お客様の注文レートと実際の約定レートに生まれる差のことです。

具体的には、注文したときに画面に表示されている価格（注文レート）と、実際に注文が確定する価格（約定レート）が異なる状況を指します。

スリッページが起こる原因は、FXではお客様が注文を行ってからサーバーを通して注文が約定するまでタイムラグが発生する場合があるためです。

マーケットは常に変動しているため、タイムラグが発生している間に値動きが起こることでスリッページが起こります。

したがって、為替相場の値動きが激しいときほど、スリッページのリスクに注意しなければなりません。

スリッページのリスクに備える場面として、世界経済において最も重要な経済指標である米国雇用統計の結果や各国の中央銀行による政策金利やGDPなどの発表に合わせて為替相場が激しく変動する可能性があるため、それらの発表前後にスリッページが起こる可能性が高まります。

また、大規模な経済イベントや国際情勢に影響を与える重大事件や災害の発生もスリッページ発生のリスクを高める要因となっています。

SBI FXトレードでは、スリッページによるリスクを軽減するため、注文時の価格と約定時の価格のずれ幅の許容範囲を設定することが可能です。

たとえば、米ドル/円で「120.0000」の買い注文をするとき、許容スリッページを「0.02」に設定した場合、許容スリッページである「120.0200」を超えなければ注文が約定され、超えた場合は注文が約定されません。

許容スリッページは、取引画面で設定可能です。

以上がスリッページについての概要です。

スリッページが起こる理由

スリッページは、FX取引において起こる現象であり、以下の2つの主な原因によって発生します。

インターネット環境の問題によるスリッページ

トレーダー側のインターネット環境に問題が生じた場合、注文がFX会社のサーバーに到達するまでの遅延が発生します。

この遅延の間に価格が変動することで、スリッページが発生します。

具体的には、以下のような理由が挙げられます。

• インターネットプロバイダの問題：トレーダーが利用しているインターネットプロバイダによっては、接続速度が遅くなる場合があります。そのため、注文がFX会社のサーバーに到達するまでに時間がかかり、価格が変動する可能性があります。
  
• 自宅のネット環境の問題：トレーダーが自宅で取引を行う場合、自宅のネット環境に問題が生じることがあります。例えば、Wi-Fiの接続が不安定だったり、回線が混雑している場合などです。これによって注文が遅延し、価格が変動することがあります。

FX会社の処理速度の問題によるスリッページ

FX会社の処理速度が遅い場合、注文が到着してから約定するまでの遅延が生じます。

これによって価格が変動し、スリッページが発生する可能性があります。

以下のような理由が、FX会社の処理速度に関する問題として挙げられます。

• サーバーの負荷：売買が活発化し、多くの注文がFX会社のサーバーに集中すると、サーバーの負荷がかかり遅延が生じることがあります。
  
• 金融機関とのやり取りの遅延：FX会社は、受け売り先の金融機関との間で取引を行います。しかし、金融機関とのやり取りに遅延が生じることがあり、それによって注文の約定が遅れることがあります。

特に重要な経済指標の発表前後や、大規模な経済イベントや災害・重大事件の発生時などは、注文が殺到しスリッページが発生しやすい状況になります。

したがって、取引を行う際には、インターネット環境やFX会社の処理速度に注意する必要があります。

また、スリッページを抑えるためには、処理速度の速いFX会社を選ぶことが有効です。

FXのスリッページの例

FXのスリッページは、トレーダーにとって利益を減らす要因となる場合もあれば、逆に利益を増やす場合もあります。

具体的な例を見てみましょう。

結果その1（スリッページなし）

注文が送信され、提示された最良の買値は1.3650円（要求価格）で、注文は1.3650円で約定します。

結果その2（ポジティブスリッページ）

注文が送信され、提示されている最良の買値が突然1.3640円（要求価格より10pips低い）に変わったため、注文はこの最良の価格である1.3640円で約定します。

結果その3（ネガティブスリッページ）

注文が送信され、提示されている最良の買値が急に1.3660円（要求価格より10pips高い）に変わったため、注文はこの最良の価格である1.3660円で約定します。

上記の例では、注文時の要求価格と約定価格が異なることでスリッページが発生しています。ポジティブスリッページの場合は要求価格よりも良い価格で約定し、ネガティブスリッページの場合は要求価格よりも悪い価格で約定します。

スリッページが発生する原因は、注文がFX会社のシステムに届くまでの短時間の間に為替レートが変動することです。特に市場が大きく動く時や注文が殺到する時にスリッページが発生しやすくなります。

注意点として、スリッページはスプレッドとは異なる概念です。スプレッドは売値と買値の為替レートの差を指し、スリッページとは注文価格と約定価格のズレを指します。

スリッページの発生は避けられない場合もありますが、適切な対策を取ることでスリッページの影響を最小限に抑えることができます。次のセクションでは、スリッページを抑える方法について詳しく説明します。

FXでスリッページを抑える方法2つ

FXでスリッページを抑えるためには、以下の2つの方法が有効です。

方法1：許容スリッページを設定する

スリッページを軽減するためには、「許容スリッページ」を設定しましょう。

許容スリッページとは、どれくらいのスリッページで約定させるかという設定のことです。

許容スリッページを設定するメリットは、利益減少の最大幅を固定することができるという点です。取引数量が大きくなるほどスリッページによる損失も増えるため、許容スリッページの設定がより効果を発揮します。

具体的な設定例としては、米ドル円のレートが112.100円の場合、許容スリッページを10pipsにすることで、約定レートは112.000円〜112.200円の範囲となります。ただし、許容スリッページをゼロにすると約定できるレートが制限されるため注意が必要です。

方法2：カバー先の多い会社を選ぶ

もう一つの方法は、カバー先の多い会社を選ぶことです。FX会社はカバー先の金融機関から為替レートの情報をもらっており、カバー先が多いほど約定する可能性が高くなります。

なぜなら、カバー先が多いと取引が分散されるためです。FX会社は注文が入ると同時にカバー先金融機関と取引するため、カバー先が多ければそれだけ処理がスムーズに進み、スリッページの発生を予防することができます。

このようにカバー先の多い会社を選ぶことで、スリッページの発生を抑えることができます。

以上が、FXでスリッページを抑えるための方法です。許容スリッページの設定やカバー先の選択によって、スリッページを最小限に抑えることができます。

スリッページが発生する原因と防衛策

スリッページが発生する原因

スリッページは、FXの注文が約定するまでの間にレートが変動してしまった場合に発生します。

主なスリッページの原因は次の2つです：

1. トレーダー側のインターネット環境の問題: 注文がFX会社のサーバに到達する間に発生する遅延で、利用しているインターネットプロバイダや自宅などのネット環境が原因です。
   
2. FX会社の処理速度の問題: 注文がFX会社に到着後の遅延で、売買が活発になるとサーバに負荷がかかったり、取引先の金融機関とのやり取りに遅延が生じます。

スリッページの防衛策

スリッページを防ぐことは完全にはできませんが、以下の方法を試すことでスリッページを軽減させることができます：

1. インターネット環境の改善: トレーダー自身が利用しているインターネットプロバイダや通信環境を見直し、高速・安定した接続環境を確保します。また、可能な限りネットワークの混雑が少ない時間帯を選ぶことも効果的です。
   
2. 処理速度の速いFX会社の選択: 処理速度の速いFX会社を選ぶことで、注文の到達から約定までの遅延時間を短縮できます。信頼性と高速性を重視し、口コミや評価を参考にすることが重要です。
   
3. 許容スリッページの設定: マーケット注文で注文の許容スリッページを設定することで、スリッページの発生を制限することができます。注文を出した後に許容値を超えて不利な方向へレートがずれた場合、注文は不成立となります。
   
4. スリッページに対応したトレード戦略の採用: スキャルピングなどの短期売買戦略ではスリッページの影響を受けやすいため、適切なポジションサイズやトレード回数の設定を行うことでスリッページのリスクを軽減させることができます。

まとめ

スリッページは、トレーダーが発注してから注文が約定するまでの間にレートが変動してしまった場合に発生します。

スリッページの原因はトレーダー側のインターネット環境の問題やFX会社の処理速度の問題などがあります。

スリッページを軽減させるためには、インターネット環境の改善や処理速度の速いFX会社の選択、許容スリッページの設定、スリッページに対応したトレード戦略の採用が有効です。

ただし、完全にスリッページを回避することはできないため、トレーダーはスリッページのリスクを理解し、対策を講じる必要があります。

スリッページが発生するタイミング

スリッページは、市場の値動きが激しい状況でより発生しやすくなります。

具体的には以下のようなタイミングでスリッページが発生する可能性が高まります。

経済指標発表のタイミング

重要な経済指標の発表前後は、スリッページの発生リスクが高まります。

経済指標は市場の予想や期待に大きな影響を与えるため、市場参加者が注文を急増させることがあります。

このような注文の急増によって、サーバーへの処理が遅れる可能性や、約定価格が予想した値段とは異なる価格で約定される可能性が高まります。

早朝や市場オープン直後

早朝や市場オープン直後は、取引が活発になり、相場が急変しやすい時間帯です。

特に、日本市場のオープン直後や米国市場のオープン直前は、注文の殺到や大口取引の発生が予想されます。

このような状況下では、スリッページが発生しやすくなります。

大型経済イベントや災害・重大事件の発生時

大型経済イベントや災害・重大事件の発生時は、市場の不安定要因となります。

これによって相場の値動きが大きくなり、スリッページの発生リスクが高まります。

特に、市場参加者が一斉に注文を出す場合は、処理の遅延や予想外の約定価格での約定が起こりやすくなります。

以上のようなタイミングでスリッページが発生することが多いですが、実際にスリッページが発生するかどうかは、市場の状況や注文の数によって異なります。

トレーダーはこれらのタイミングを把握し、注意して取引することが重要です。

まとめ

スリッページは、FX取引において注文した価格と実際の約定価格の差を指す現象です。

スリッページの発生原因として、トレーダー側のインターネット環境やFX会社の処理速度に問題が生じることが挙げられます。

スリッページを軽減するためには、許容スリッページの設定やカバー先の多い会社の選択が有効です。

スリッページは市場が激しく動くタイミングや経済指標発表前後、早朝や市場オープン直後、大型経済イベントや災害・重大事件の発生時に発生しやすくなります。

トレーダーはこれらのタイミングを把握し、慎重に取引することが重要です。

スリッページは完全に回避することはできませんが、適切な対策を講じることで影響を最小限に抑えることが可能です。

よくある質問

1. スリッページとは何ですか？

スリッページとは、注文した価格と実際の約定価格の差を指す現象です。

2. スリッページが発生する主な原因は何ですか？

スリッページの主な原因は、トレーダー側のインターネット環境の問題とFX会社の処理速度の問題です。

3. スリッページを軽減するための方法はありますか？

スリッページを軽減するための方法として、許容スリッページの設定やカバー先の多い会社の選択が効果的です。

4. スリッページが発生するタイミングはありますか？

スリッページが発生しやすいタイミングとして、経済指標発表前後、早朝や市場オープン直後、大型経済イベントや災害・重大事件の発生時があります。

5. スリッページとスプレッドは同じですか？

スリッページとスプレッドは異なる概念です。スプレッドは売値と買値の為替レートの差を指し、スリッページは注文価格と約定価格のズレを指します。

6. スリッページを完全に回避することはできますか？

スリッページを完全に回避することはできませんが、適切な対策を講じることで影響を最小限に抑えることが可能です。